フクロウの飼育方法は、放鳥、ケージ内、繋留飼育が主流でしょう。(他、野外の小屋などもあります。)
我が家の場合は、家にいる時は放鳥、留守にしている時は繋留が基本です。
オナガフクロウのふぐはケージ飼育を3ヶ月ほど行いました。
それぞれの飼育方法について、特にリスクに焦点を当ててまとめていきます。
繋留飼育
繋留とは、フクロウの足に紐をつけて、止まり木などに括り付けることです。
メリットとしては、フクロウの移動を制限することで、危険な場所に行かせない、外に飛んで行くことを防ぐ、ケージ飼育より羽根の状態が綺麗になるという点が挙げられます。
繋留時に多い事故としては、以下の内容が挙がります。
・机の上などからぶら下がってしまう
・リーシュが長くて絡まってしまい身動きが取れなくなる
・繋留場所の周りにたくさん物があるせいでぶつかったりする
・アンクレット関連の事故
繋留する時は動きが制限されます。
遠くに飛べる思って飛んだ時に足に負担がかかってしまい、最悪脚が骨折する事例や、頭からこてけしまい、眼球に傷がついてしまったり、脳にダメージを負ったり、打ちどころが悪ければ足を引きずったり飛べなくなってしまったり、という事例もあるそうです。
繋留場所の確認
床置きが事故が少ないですが、小型のフクロウは下にいるとストレスを感じやすい種類もいるようです。
我が家ではアフリカオオコノハズクのあもを机の上に置いていますが机の端になって、ぶら下がらないように気をつけています。
止まり木(ファルコンブロック、アウルパーチ)
繋留させる時に使用する止まり木としてよく使われるのは、ファルコンブロックと、アウルパーチでしょうか。
エコーを飼育していた時に、ファルコンブロックのメリットデメリットを教えてもらいました。
ファルコンブロックは、本来の用途はファルコンと書いている通りハヤブサ用として作られたものです。
ハヤブサの尾が長い特徴も加味して、尾がつかないように背の高い作りになっています。
同様の特徴を持つオナガフクロウに良いだろうと思って使っていたものの、デメリットもあるようです。
フクロウは、前2本後2本の指でぐっとつかみます。
ハヤブサや鷹は前3本後1本でつかみます。
ファルコンブロックだとつかめず、上に乗った形になるため、ずっとそこにとどまっていると握力が弱くなる可能性があるらしいです。
私は大は小を兼ねると思い、大きめの中型用のものを買ったのですが大きすぎてファルコンブロックの縁を掴むことができないようでした。
繋留時ファルコンブロックを使用していても、定期的に放鳥させてぐっと掴める形の止まり木に止まらせてあげると良いようです。
部屋に点在している止まり木を工夫して自然に力がつくようにしてあげました。
また、ファルコンブロックの頭の直径が小さいと、ジェスと足との空間部分にはまって引っかかって動けなくなるという事故もあるらしいです。
フクロウの特徴を考えて作られたアウルパーチはしっかりした構造で、つかみやすく、アーチの下をくぐり抜けられないような構造になっています。
止まり木の形状は色々想定されて作っているのだとわかりました。
リーシュの長さの調節
机の上から落ちない長さに調整しましょう。
長すぎて絡まったりしないようにしてください。
1歳に満たないフクロウが、留守の間にリーシュに絡まり、動けなくなったまま長時間いたという事例もあります。
幸い、一命は取り留めましたが、足を痛めてしまい、後遺症もあるようです。
リーシュが長い方が自由度が高くなるからと、良かれと思ってやったことが仇となることもあります。
紐が長い方が足に負担がかかりやすいです。(より遠くに飛べるため、助走が付き、足に力が加わる)
周りに置く物を少なくする
止まり木と水盆ぐらいしか近くに置かないようにしています。
遊んでほしいからと置いたものが誤飲の原因になる可能性もあるし、身体をぶつけてしまう危険性もあります。
適切なサイズのアンクレットを適切なタイミングで交換する
アンクレットによる締め付けで圧迫して鬱血して足が壊死してしまったり、アンクレットの革が硬くなってしまったことで足に負荷がかかり足を痛めたり、飛んだ勢いで足が取れたという事例も聞いたことがあります。水に浸かると革は硬くなりやすいです。
定期的にアンクレットを触って硬くなっていないか確認し、早めに交換をしましょう。
私は最低でも半年に1回は交換しています。
放鳥飼育
放鳥は、ケージなどに入れず、繋留もせず、自由に飛ばすことです。フクロウにとっては飛び回れて開放的になり嬉しいでしょう。
放鳥時に多い事故は
・ぶつかって、骨折、打撲、脳震盪など・家に慣れてない時は窓ガラスにぶち当たって外に出ようとする・外に出てしまいロスト・誤飲
放鳥中はさまざまな危険があることを念頭に色々とリスクを取り除く必要があります。
ぶつかりそうな場所を探し対策をする
お迎えしたては特に、窓ガラスに気づけずぶつかったりする可能性があるので、カーテンを開けないなど最初の頃は気をつけた方が良いと思います。
また、人間が移動する際に開け閉めするドアに挟まらないように注意してください。
足元に来る子は踏まないようにしてください。
(オナガフクロウのふぐはよく足元に来るため一度蹴飛ばしてしまったことがあります…。幸い何もありませんでした。)
ロストさせない、網戸に注意、開け閉めは慎重に
一番大切なことです。
窓を開ける際は、別部屋に移す、繋留する、ケージに入れるなどしてよく確認してから開けるようにしてください。
また、網戸をしてるから大丈夫と思い込んではいけません。
大型フクロウが網戸を突き破って外に出たという事例があります。
網戸にぶつかった衝撃で網戸が窓枠から外れてしまうこともあります。
中型以下のフクロウも、足と嘴の力で網戸に穴を開けることは可能です。
オナガフクロウのふぐが網戸に足を引っ掛けながら登ったことがあります。
網戸には小さい穴が開いていました。穴を嘴で少しずつ開ける力もあると思います。
油断してたら、家から飛び出してしまっていたと言うことがあるので本当に注意してください。
外に出てしまったら、大抵のフクロウは自力で獲物を捕まえることはできません。
毎年必ずと言って良いほどフクロウをロストしたという情報がSNSで流れてきます。
小型フクロウの場合、特に発見は難しいです。
外に出たフクロウは、ものすごく心細く怖い思いをしています。悲しいことが起こらないように。
本当に注意してください。
誤飲のないよう部屋の中を整理整頓
なんでも口に入れて飲み込んでしまう赤ちゃんだと思って、室内に小さいものは出しっぱなしにしないようにしましょう。フクロウに与えるおもちゃにも注意が必要です。
小さいパーツがあるものなどは取れてしまわないように。
留守番時はおもちゃは近くに置かない方が無難だと思います。
こんなものまで?!誤飲物の例
人間の髪の毛が舌に絡んでしまったという話を聞いたことがあります。
急に食欲がなくなって、大きな肉を飲み込めなくなったので変だなと思い病院へ行ったそうです。
口の中を見てもらったら、舌に髪の毛が絡まっており、ピンセットで取り除いてもらったようです。
また、我が家では革の切れ端を飲み込んでいたという事故もあります。
ジェスなどアンクレットからはずれやすい場合は注意が必要です。
大きな靴下を飲み込んで窒息死してしまったメンフクロウの話も聞いたことがあります。
大きいし大丈夫だろうって思ってた物を飲み込むことが結構あるので注意が必要です。
他にも、かなり怖いのが鉛メッキが塗られているような金属。
鉛中毒になり亡くなることがあります。
一命を取り留めても神経障害などの後遺症が残る場合があります。
アクセサリーなどの金属類は特に出しっぱなしにしないようにしてください。
安全な止まり木、適切な置き場所
放鳥時は、いろいろな場所に止まるので、家の中にたくさんの止まり木を用意すると思います。
止まり木は足にあったものを用意しましょう。
以前角材で止まり木を作った際に足を痛めてしまいました。(オナガフクロのエコー)
その後、止まり木にカーペットをカットしたものを貼り付けてクッションにしました。
また、人工芝も固さに注意する必要があります。止まった時の衝撃で足裏を傷つける可能性があるからです。
複数羽飼育する際、同時放鳥は危険!!
仲のいいフクロウ同士なら大丈夫かもしれないけど、仲が悪いフクロウは事故につながる可能性があるので、放鳥する際は部屋を変える方がいいでしょう。
我が家のフクロウ、あもふぐは仲が悪く、一度220gのふぐが、200gのあもを襲ったことがあります。
オナガフクロウは中型フクロウに属し、嘴や脚の掴む力が、小型フクロウのアフリカオオコノハズクよりも強いです。幸い怪我はなかったのですが、首根っこを掴まれたり噛まれたりした場合、あもは死んでしまっていたかもしれません。
例え仲が良くても、フクロウは力が強い分、パニックになったり、空腹になった時などに急にスイッチが入る可能性があります。
そういうことを十分理解しておいてほしいです。
また、フクロウ同士だけでなく、異種動物間でも事故は起こり得ます。
自分の子は大丈夫と思い込まず、リスクをわかっておきましょう。
ケージ飼育
繋留ではなく、基本的にケージで、時々放鳥を行う飼い方もあります。
私も、オナガフクロウのふぐの足のハゲが気になり、飼育1年半頃からケージ飼育に切り替えました。
ふぐは今まで6年半繋留生活をしてきたので、ケージ内を嫌がる可能性もあるため、少しずつ慣らしていきました。
繋留飼育からケージ飼育への移行した時のことについてまとめます。
ケージに慣れさせるために
ケージ飼育をに切り替える前に、2、3日ケージを部屋の中に置いて、存在に気づかせました。
その後、1日10分、1時間、夜寝ている間、日中、と徐々にケージにいる時間を延ばしていきました。
特にオナガフクロウのふぐは、昼行性ということもあり、比較的夜は動きが少なく眠っている印象でした。
朝、仕事に行く前にはケージの中でコオロギを2、3匹食べてもらいました。
ケージに入ることでご褒美がもらえると覚えさせて、ケージに入ることにネガティブなイメージを持たせないようにしました。
ケージ飼育を始めてきづいたこと
ケージ飼育に切り替えて気になった点は、出たがって暴れるところです。
頭突きをして暴れるため、羽根も傷むし、頭をぶつけて神経系に支障が出るのではないかと心配でした。
だんだんと、暴れることは減りましたが、明け方、私がいつも起きる時間帯に、暴れている音がするのでなるべく早く起きて出してあげることにしました。
また、同室に人がいる気配がすると暴れます。
なので出かける直前にケージに入れてあげるようにしました。
正直、多少暴れることは、仕方がないのかなと思っています。
どんな鳥も、ケージという空間は好きでなく、ケージを出て広い空間を飛び回りたいと思います。
少しでもケージにいる間大人しくしてもらうために、習慣づけることが大切なのかなと感じました。
入っている間は暴れても出ることはできない、人が家にいる気配がない時は外に出ることができないと覚えさせることで、ケージから出たがろうとすることが少なくなると思います。
また、ケージの中でご褒美がもらえるというのも習慣作りにピッタリでした。
食いしん坊のふぐにはケージの中でコオロギが食べられて嬉しかったと思います。
繋留飼育・ケージ飼育 一長一短
ケージ飼育でよく羽根が擦れやすいと指摘されます。
ある程度の広さもあり、羽繕いなどに支障がない小屋であっても、出たがってバタつく時に羽根が擦れることはあります。
繋留飼育は、羽根の擦れ方という点では、アンクレットで足がハゲになることはあっても、翼や尾羽は綺麗な状態を保ちやすいと感じます。
一部屋を与えるのが理想系だなって結論は出てるけど、そんな余裕ないですねぇ…。
飼育方法を変更する際は要注意
場所が変わるのは人間もフクロウもストレスがかかります。
繋留からケージ、ケージから繋留、飼育方法を変える時、フクロウはストレスを感じることでしょう。
色々試すのはいいけど、急激に変えないように注意してください。
短い時間、夜だけ、日中短時間家を出る時だけと少しずつ環境に慣れてもらうようにしてください。
どの飼育方法が良いのか?
どの飼育方法が良いのでしょうか??
これはもう、飼い主さんの考え方やそれぞれのフクロウの性格によって変わることでしょう。
私の場合は、留守の時ずっと放鳥するのは怖くてできません。
誤飲したり、どこか隙間に入り込んだり、2羽で喧嘩したりする可能性があるからです。
足を縛ること、狭い小屋に入れること、少し可哀想に思う時もあります。
一室を与えてずっと放鳥させるという飼い方がきっとフクロウにとって幸せなのかなぁと想像することもあります。
ただ、生活スペースが離れてしまうのは寂しい気がします。
なので少しでも人間慣れしてもらうために据えたり、繋留したり、同じ部屋で放鳥させて近くにいてもらっています。
ずっと放鳥だと変な場所にうんちされるのが嫌だという人間都合の理由も少しはあるけど、それぞれが気持ちよく生活できるのが一番ではないでしょうか?
一緒に生活するためにお互いに精神的に過ごしやすい環境にしていくことも大事だと思っています。
飼育方法についての話は、お迎えしてまだ日が浅い家庭と、何年も一緒に生活をしている家庭を、一緒くたに考えてはいけない内容だと思っています。
ずっと放鳥は危険と言っても、その生活を5年以上続けているフクロウもいます。
その子にとって、放鳥飼育が一番適していると言えるでしょう。
飼育方法についてフクロウ飼育者どおしで話す場合、各家庭の背景がわからないので、断定的な言い方は良くないなと思っています。
また、フクロウショップの店主も様々な考え方を持っていますが、基本的に繋留で長生きさせているところが多いので、繋留を勧めるでしょうが、自分だったらどうしていきたいかしっかりと考え、リスクを知った上で理想の飼育環境を作ってあげることが大切だと思います。
リスクの理解と対策、飼育において一番大切なことです。
ここにあげたもの以外に沢山のリスクがそれぞれの飼育方法にあることでしょう。
是非、一度振り返ってみてください。
それぞれのフクロウにあった飼育方法を模索していきましょう!
内容をまとめや書籍はこちら
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