今回の記事では、猛禽類のことが好きな皆さんに、ぜひ知っておいてもらいたい団体を紹介します。
猛禽類医学研究所とは
北海道釧路市にある釧路湿原野生生物保護センターを活動拠点とする獣医療機関です。
1993年に創設された施設です。
環境省からの委託を受け、野生生物、主に猛禽類の保護活動を行ってる団体です。
(タンチョウなども保護しています。)
保護されている個体は、絶滅危惧種である猛禽類、シマフクロ、オオワシ、オジロワシなどです。
シマフクロウは北海道全土に180羽ほどしか生息していないと言われています。
なぜ猛禽類を保護するのか？
絶滅危惧種の保全活動が大切な理由はわかると思いますが、そもそも数ある動物の中で何故、猛禽類の保護を行う必要があるのでしょうか？
猛禽類とは、鷹、鷲、フクロウなどの、鋭い爪と嘴を持ち、他の動物を捕食（または腐肉食）する習性のある鳥類の総称です。
生態系ピラミッドの頂点に立つ存在です。
猛禽類は、ネズミや野うさぎ、小鳥などの小動物を捕食しています。
猛禽類が減少することで、捕食対象である小動物が異常に増えて、生態系のバランスが崩れる恐れがあると考えられています。
団体の主な活動
・傷病の個体を保護し治療する
・傷病、死因の原因を突き止める
・事故の場合、対策を考える
・野生復帰できない猛禽類たちの終生飼育
・生息場所の保全・調査
などがあげられます。
少し活動内容を掘り下げて書いていきます。
傷病の個体の保護
北海道全土、野生の猛禽類は怪我をしていたり、亡くなっているなどの通報があればすぐに車で駆けつけます。
車の中で処置をしつつ、釧路のセンターに運んでいきます。
年間100羽を越える生き物達が運び込まれるそうです。
傷病、死因の原因を突き止める
猛禽類たちに一番多い死因が交通事故です。
他、感電死事故、風車との衝突事故、鉛中毒、鳥インフルエンザなどがあります。
交通事故は、運転時のスピードが早い点が問題になっています。
また、シマフクロウは夜行性のため、夜間飛んできていることに気づけず、跳ねてしまったということもあるようです。
事故が起きた場合、できるだけ早く施設に通報して早い処置をしてあげられたらいいのですが、連絡先を知らないなどの理由で放置されることもあるようです。
また、聞き慣れないかもしれないですが鉛中毒というものもあります。
狩猟で使われる鉛弾が原因です。
狩猟で放置された鹿などの体内に鉛が含まれており、それを食べた猛禽類が死んでしまうのです。
治療を尽くしても救うことが難しい病気です。
対策を考える
交通事故の多い場所は、猛禽類の餌場が近いなどの理由があるようです。
道路の両サイドにポールなどを立てて、猛禽類が横断できないようにする。
車が通る時、音を立てること、で気づいてもらえるように道路のアスファルトに細工するなど行われています。
また、鉛中毒に対しては、平成16年から北海道全土での鉛弾の使用が禁止されています。
終生飼育
猛禽類達は、重傷だった場合、野生復帰ができません。
施設には30羽近く(それ以上かもしれない)の野生復帰できないオオワシ、オジロワシが収容されています。
彼らの飼育のための費用は国からの予算では足りないため、寄付やグッズ等の収入で賄われているそうです。
彼らの血液が、新たに搬送された傷病の猛禽類達に輸血されることもあります。
生息場所の保全・調査
生息地の確認、繁殖状況、個体数の調査など。
施設の紹介記事について
去年の9月、施設の見学に行きました。
傷病のため野生復帰できない猛禽類達を近くで見て、獣医師や研究員の方から直接話を聞くことができました。
さらに自分の中で、猛禽類たちの保護についての認識が深まり、共感し、もっと団体を応援したいという気持ちになりました。
https://maddy-owl.muragon.com/entry/294.html
また、代表の齊藤 慶輔さんは、本も出しております。
詳細記事はこちら。
https://maddy-owl.muragon.com/entry/183.html
このような、生物や環境に関する活動は、直接人間の生活に関わりがなく、実感することも少ないため、見落としてしまうと思います。
私も、フクロウを飼わなかったら知ることがなかったと思います。
説明内容は、十分ではありませんが、猛禽類医学研究所について、まとめてみました。
「猛禽類医学研究所」の存在を知っていただけたら嬉しいです。
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